「ひとりのほうが落ち着く」と彼女を物置の隣の部屋へ→俺が言えなかった理由
コラム
2026/07/20
1人が落ち着くと言ったのは、彼女を守ったつもりでした。でも、壁越しに届く笑い声の中で、俺はその言葉を悔やんでいました。
目次
鍵のかかる、ただひとつの部屋短く言った、その裏側同じ笑い声を、こちら側でそして…鍵のかかる、ただひとつの部屋
学生時代の友人4人と俺たちカップル、6人で予約した宿でした。到着してすぐ、俺は受付で部屋の希望を1つだけ伝えました。奥の、鍵のかかる部屋を1つ空けてほしい、と。彼女には内緒で頼んだことが、あとであんな顔をさせるとは思っていませんでした。
この旅行の話が出たとき、彼女は乗り気と不安が半分ずつのようでした。大人数で雑魚寝になると眠れない、と前にこぼしていたのを覚えています。
宿に空いていた個室は1つだけで、それが大広間から離れた、物置の隣の鍵のかかる部屋でした。みんなが盛り上がる輪から、いつでも抜けて休める場所。俺はそこを、彼女のために押さえておきました。
短く言った、その裏側
大広間に5組の布団が並んだところで、友人の1人が「えっと、もう1部屋あるんだっけ?」と気づきます。彼女の名前が挙がり、別の友人が「1人で平気?」と気遣ってくれました。
でも、ここで事情を細かく説明すれば、かえって彼女の居心地を悪くさせてしまう。だから俺は、みんなのほうを向いて短く言いました。
「1人のほうが落ち着くタイプだから」
本当は、1人が好きなわけじゃなく、無理をさせたくなかっただけです。鍵と毛布を渡しながら、「奥の部屋、鍵かかるから」と付け加えました。あの部屋は冷えるので、毛布を1枚多く頼んでおいたのです。
HOT ITEM同じ笑い声を、こちら側で12