探し続けた、彼女のマグカップ。「ちょっと用事」と濁し続けた半年間
コラム
2026/07/23
テンションが上がったまま送ったボイスメッセージが、よりにもよって彼女のスマホに届いてしまったのです。隠し続けた半年が、ここで表に出てしまいました。
店員さんが奥から持ってきた箱の中に、姉に教えてもらった通りのマグカップがありました。
目次
あの取っ手が欠けた音製造終了の品を、姉に頼って探した半年誤って届いた、姉宛のボイスメッセージそして…あの取っ手が欠けた音
俺の手元が滑って、彼女のお気に入りのマグカップを欠けさせた音は、半年経った今もよく覚えています。彼女は「大丈夫だよ」と笑ってくれましたが、その日以来、新しいカップを買い足そうとはしませんでした。俺のせいで、彼女の小さな楽しみが1つ消えてしまった。同じ品を見つけて返すまで、この件を終わらせたくありませんでした。
製造終了の品を、姉に頼って探した半年
同じ品はどの店でも首を横に振られ、製造をやめた品らしいとわかりました。陶器に詳しい姉に相談すると、業界の知り合いに当たってみると言ってくれました。
それから半年、姉から教えてもらった店を1軒ずつ回り、空振りが続くたびに姉と次の店を相談する日々が続きました。見つけてから驚かせたくて、出かける理由を聞かれても「ちょっと用事」としか答えませんでした。誰とのやり取りか聞かれたときは、「仕事の知り合い」とまで嘘をついてしまいました。スマホが震えるたび、彼女に画面を見せず確認する癖までついていました。隠しごとが長引いた分、彼女の中で別のものが膨らんでいたことに、その頃の俺は気づいていませんでした。
誤って届いた、姉宛のボイスメッセージ12