<海から蘇った動画 泣き声に息子の可能性>

白波が立つ、灰色の海。
船は大きく揺れ子どもの泣き声も聞こえてきます。

この船には当時7歳の男の子が乗っていました。

記者
「息子さんの可能性はありますか?」
凜くんの父親
「あると思います」
「大丈夫大丈夫と言ってギュッと抱きしめてたと思います」

父親が初めて向き合った事故当日の動画。
そこから明らかになったこととは―

<息子の帰りを待ち続けて 残されたリュックと父親の4年>

沈没事故から4年。
父親のもとには海から引き揚げられた息子のリュックが残されています。

凜くんの父親
「やっぱり変わらなくてこれはきっと自分が死ぬまでこの辛さというのはずっとあるんだろうなと思ってます」

鉄道など乗り物が好きだった乗客の1人凜くん。
2022年4月、母親と訪れた知床で観光船「カズワン」に乗り、沈没事故に巻き込まれました。2人の行方はいまもわからないままです。

<海岸で見つかったデジカメ 1年半かけデータを完全復元>

あの日、異変を知らせる通報のおよそ1時間前、
カズワンの船内から撮影された動画です。

白波が立ち、船は上下に揺れています。

この動画を撮影していたのは千葉県から旅行で来ていた優さんです。

事故から2年後、知床半島の先端付近で砂浜に打ち上げられていた
優さんのデジタルカメラが捜索ボランティアによって発見されました。

その後、およそ1年半かけ、カメラメーカーなど4社の協力によりデータが復元。
今年5月、両親のもとに届けられました。

優さんの両親
「映ってるよ 乗っている」

出航直後に撮影された動画。このとき波は穏やかでした。
しかし2時間後、海の様子は一変します。
この後も時間を追うごとに波は高くなりおよそ1時間半後、カズワンは沈没しました。

<残された子どもの泣き声 いまも聞けぬ「声」>

この日、復元した動画と初めて向き合った凜くんの父親。
動画を無音にしたまま画面に映る激しい揺れを見つめます。

凜くんの父親
「相当ですよね揺れ船に当たる波のしぶきとかすごいですよね。海がどんどん荒れていって船の揺れも激しくなってきて、大丈夫大丈夫って言って(母親は息子を)ギュッと抱きしめてたと思います。

動画の中には、子どもの泣き声も残されていました。

先週、代理人弁護士から「男の子の声が入っている」と知らされていた凜くんの父親。いまもその「声」だけは聞くことができずにいます。

それでも凜くんが揺れを苦手だったこと、乗客の中で男の子は凜くん1人だったことなどから動画に残されていた声は「息子の可能性がある」と明かしてくれました。

記者
「息子さんの可能性はありますか?」

凜くんの父親
「あると思います」
「上下に動く乗り物は苦手ですねお風呂も苦手なんですよね」
「お風呂入ったら水が揺れるじゃないですか入った時にそれを見ててもすごい怖がってだからお風呂入れるのは結構入るの大変でしたね」

<復元動画が証拠に 息子が残した真実>

息子が味わった恐怖を想う父親の胸には運航会社社長への怒りがこみ上げます。

凜くんの父親
「こんな状況になるのがもうわかっていながら船を出航させた
桂田が自分は悪くないと言ってるのが本当に許せないですね」

運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長。
乗客家族らは2024年、運航会社と桂田社長を相手取り
15億円を超える損害賠償を求める裁判を起こしました。

17日開かれた9回目の口頭弁論。
原告側は当時、運航基準を超える風や波が予想されていたにも関わらず
運航管理者である桂田社長が出航の中止を指示しなかったなどと主張。

一方で被告側は会社としての賠償責任を一部認めつつも
桂田社長個人の過失は否定しています。
午前中に船が戻る予定なら安全だったとしてそのまま航行を続けた船長に責任があるなどと主張しています。

原告弁護団山田廣弁護士
「(桂田社長)は法的な責任も認めず真っ向から向き合おうとしない」
「原告らは被告桂田を見てくやしさでいっぱい」

またきょうの裁判では乗客の優さんが撮影した動画が証拠として提出されました。
父親は息子にこう報告したいと話します。

優さんの父親
「本人は旅が終わって親に『こんな荒れた海の中で観光してきたんだよ』というのを見せたかったでしょうし、こんな形で使われるなんてまさか思ってなかったと思いますけれども頑張ってこういう形で使われるようになったよと伝えたいですね」

きょうで結審。乗客家族がいま桂田社長に求めることは

優さんの父親
「とにかく我々に誠意を見せるためには潔く自分の責任を認めて
 こちらの要求を全面的にのむというのを望んでいます」

凜くんの父親
「この事件で誰かがまだ責任を取ったわけでもないですし家族も見つかっていない」
「本当に反省しているならやっぱり全て言い訳しないで自分のしたことをやったことを認めて責任を取るべきだと思います」

#知床沖観光船沈没事故 #桂田精一 #復元データ #動画

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4件のコメント

  1. 知床に何度も足を運んでいるものです
    知床岬に行くまでには、港からかなり距離があり、大型の観光船でも疲れるほどです

    突端までには知床山脈が連なっており、それらの山と山の間を、突風が吹き付けるそうです
    知床の山歩きをすると、多くの白樺が倒れていますが、その影響が大きいそうです

    その日は、その風が吹く日だったそう
    そういう日は、海に出ては行けないし、出る船乗りはいないと、地元の方に伺いました

    どうか、もう2度とこのような事故のないよう、祈るばかりです

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