引き止めるつもりで「俺を失ったら終わりだよ」と言った俺→閲覧者に名前が並ぶと分かっていても、やめられない
コラム
2026/10/05更新
引き止めるつもりで口にした一言にも、彼女は戻りませんでした。その後の投稿を見るたび、自分の言葉の意味が変わっていきます。
スマホの画面をスクロールして、更新するのが癖になっていました。探しているのは、別れた彼女の新しい投稿です。
目次
彼女の世界が広がるのが怖かった引き止めるつもりの捨て台詞彼女の画面に残る俺の名前そして…彼女の世界が広がるのが怖かった
転職してから、休みの日に会う友人は1人もいなくなっていました。俺の予定には、いつも彼女しかいない。だからこそ、彼女が陶芸教室の話を楽しそうにするたび、その話を遮りたくなったのです。
「陶芸なんて意味ある?」
口にしたのは、教室の仲間の名前が増えていくのが面白くなかったから。旅行の誘いにも服にも、先回りして口を出しました。
「俺がいないと何もできないだろ」と繰り返したのは、本当は俺のほうが、彼女なしでの過ごし方を知らなかったからです。それを認めるのが怖くて、言葉だけを強くしていました。
引き止めるつもりの捨て台詞
別れを告げられた日、俺は玄関の壁にもたれて腕を組んでいました。靴箱の上に合鍵が置かれる音を聞いても、どこかで彼女が思い直すと信じていたのです。
「俺を失ったら終わりだよ」
脅しのつもりはありませんでした。こう言えば、彼女は振り返って戻ってくる。3年間、強い言葉を言えば彼女が折れてくれたからです。
「そうかもね。じゃあ、元気で」
閉まったドアを見ながら、自分が口にした「終わり」が誰のことだったのか、分からなくなっていました。
彼女の画面に残る俺の名前12