「名前は、外してください」予約に書いた彼女の名前を、俺が店で消した理由
コラム
2026/07/05
彼女の名前を入れてもらったはずのプレートに、俺は土壇場で名前を外してほしいと頼みました。
目次
名前入りのプレートが運ばれてくる、そのタイミングで切り出すつもりでした名前入りのプレートを外せば、切り出さずに済む「これで、よかったかな」が精一杯でしたそして…名前入りのプレートが運ばれてくる、そのタイミングで切り出すつもりでした
彼女の誕生日に、名前を入れたプレートとケーキを予約していました。本当は、その名前入りプレートが運ばれてきたタイミングで、来年は一緒に暮らさないかと切り出すつもりでした。
ここ最近、彼女からの連絡がめっきり減って、会う約束もやんわり先延ばしにされていて、気持ちが離れているのかもしれないという想像が頭の隅にずっとありました。
それでも、店に向かう電車の中までは予定どおり切り出すつもりでいたのに、向かい合った彼女はどこか遠慮がちで、目も合わせてくれませんでした。頭の隅にあった想像が、彼女の伏せたまつ毛を見た瞬間に一気に大きくなり、俺はメニューを一度閉じて、また開いて、結局何も言えませんでした。
名前入りのプレートを外せば、切り出さずに済む
食事の途中、俺は「ちょっと」と席を立ち、入口で店員に「名前は、外してください」と頼みました。名前入りプレートが運ばれてくる、あの流れがなくなれば、俺は同棲の話を切り出さずに済む。確かめるのが怖くて、自分で告白のきっかけを潰しに行ったのです。席に戻った俺は、おしぼりをいじりながら、運ばれてくるはずだったプレートと、その流れで言うはずだった言葉のことを考えていました。
「これで、よかったかな」が精一杯でした12