妻が寝込むたびに残業した俺が、帰り道にいつも寄っていた場所
コラム
2026/07/17
妻に「遅くなる」と打つ俺の車は、いつもドラッグストアの駐車場にありました。
ゼリーを選ぶ手は慣れていても、渡す言葉は最後まで見つかりませんでした。寝室のドアの向こうで妻の咳が聞こえたとき、俺のコートのポケットにはレシートが2枚入っていました。
目次
「無理しないで」の裏側ドラッグストアの駐車場「もういいよ」の重さそして…「無理しないで」の裏側
俺の実家では、熱を出したら各自で治すものでした。母親が寝込んでも父親が看病する場面を見たことがありません。だから妻が「今日、ちょっとしんどいかも」と言ったとき、俺の口から出たのは「無理しないで」だけでした。
何かしなければとは思うのです。でも何をすればいいかわからないし、移って自分まで寝込んだら元も子もない。そう言い聞かせて仕事に逃げました。「今日少し遅くなる」と妻に送って、デスクに向かっている方が楽だったのです。
ドラッグストアの駐車場
ただ、帰り道は別でした。妻が体調を崩した日の帰り、俺はいつもドラッグストアに寄りました。スポーツドリンクとゼリー飲料。棚の前で選ぶのには慣れていました。けれど妻に「買ってきたよ」と声をかけることができません。
帰宅すると、妻はたいてい寝ていました。買い物袋から中身を出して、冷蔵庫の奥に並べます。妻がそれを見つけたかどうか、聞いたことはありません。聞けば、自分がそばにいなかった時間の話になる。その会話から逃げていたのだと思います。
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