好きな人からの「彼氏いるのかな」。その前の吹き出しにあったのは私の名前でした

コラム

2026/10/14更新

謝罪のメッセージのあと、彼からの返事はなかなか届きませんでした。ようやく光った画面にあったのは、私が聞いたことへの答えではなく、別のメッセージでした。

洗ったマグカップを水切りかごに伏せたとき、テーブルのスマホが2回続けて短く鳴りました。画面の上に出ていたのは、同期の彼の名前。彼から連絡が来るのは、仕事の資料のことくらいです。だから通知を開く前、手を拭いたタオルを畳む余裕がまだありました。

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名前と「彼氏いるのかな」だけの吹き出し何通りも打ち直した返事既読のあとの30分そして…名前と「彼氏いるのかな」だけの吹き出し

彼とは入社同期で、部署は違います。同期の集まりで隣の席になるたびに話すようになり、気づけば社内で目が探してしまう相手になっていました。

チャットを開くと、吹き出しが2つ。1つめは私の名前に「さん」がついただけ、2つめは「彼氏いるのかな」でした。

宛名のように置かれた私の名前と、その下の問いかけ。私に直接聞くなら、こんな書き方はしないはずです。誰かに向けた相談なのは、読めばすぐに分かりました。

彼が、私のことを誰かに聞こうとしている。そう考えた途端、タオルを持ったままキッチンを一周していました。

何通りも打ち直した返事

画面を開いてすぐ、3つめの吹き出しが届きました。

「ごめん、送る相手まちがえた」

こちらが読んだことが、向こうにも伝わったのでしょう。

返事は何通りも打ちました。「大丈夫だよ」だけでは素っ気なく、「気になる?」では踏み込みすぎる。消しては打ち直して、最後に残ったのはこれでした。

「いないよ。誰に送るつもりだったの?」

送信してから、スマホを伏せてソファの端に置きました。30秒もしないうちに裏返したのは、我ながら少しおかしかったです。

既読のあとの30分12

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